現在、日本では離婚件数が年間約20万件に達しています。本稿に目を通している皆様においては、離婚を真剣に検討している方もいらっしゃるかもしれません。勿論、当事務所はその手続きにおける相
1. 離婚意向の伝達を感情で覆いつくさない・・・
夫婦生活を続けていく中、関係がもたらすストレスや積み重なる心傷に耐えかね、その想いが我慢の限界に達しているケースもあると思います。しかし、感情的となった意思伝達は、相手の反発心を煽り、スムーズな離婚成立を困難にしてしまうリスクもあります。また、後先を考えない咄嗟のけんか別れに至った場合は、先々後悔として自分に帰ってくることが多いと考えます。
① 相手に対する愛情はもう残っていないか
② 関係改善の余地はないか(相手との心のコミュニケーションは十分だったか)
③ 離婚の決定に後悔はないか
2. やはり、「離婚が最善の選択」と判断したなら・・・
次の段階でも、冷静な対応と行動は必須です。大切なのは、離婚の意思を伝えるまでの時間を確保し、その期間に準備すべきことを集中的にやると決めることです。離婚は人生の一大事であり、相応の労力をかけ、次の人生に備えるべきイベントです。性急な対応は絶対回避してください。
いずれにしても、離婚意向を伝える前に、離婚後の自分の生活について、裏付けのあるしっかりしたイメージと計画を持った状態にしておかなければいけません。そのためには、離婚の準備項目と相手側との取り決めを要する離婚条件についてリストアップし、自分の希望のみならず、相手側の出方も想定しながら、ひとつづつクリアにしていく必要があるのです。(「離婚準備チェックリスト」を参照ください。☞PDFファイルを表示)あと、不貞行為・モラハラ、DV・浪費癖等の悪癖を理由とした離婚なら、その証拠となる資料やデータを、この準備期間に確保しておきます(「証拠集めのリスト」を参照してください☞PDFファイルを表示)。
3.別れの意志を伝える・・・・
先に触れたように、離婚については、1回の話し合いで納得・合意するということにならないのが、通常の夫婦と思います。相手側が心の中に離婚の意識を秘めている場合を除き、別れを伝えても、「なぜ、離婚を望まれるのか理解できない」「自分は愛情が残っているし、やり直せるとも思う」「離婚後の生活がとても不安」 「実質片親になる子どものことはどうする」「配偶者がいない生活は想像もできないし、困る」等々、多くの場合、相応の反応・反論が予想されます。やはり、伝える内容と方法を考えて臨む必要があると思います。すぐに合意が得られなくとも、最低限、「少し考える時間が欲しい」との返答をもらうべく、これも周到な準備のもと行うべきです。ポイントは以下2つです。
① 伝える場所、時間(タイミング)
② 伝える内容
まず、①については、当然冷静に話し合える場所が適切です。感情的になり大声を出す、威圧的な対応をされる等のリスクのある相手なら、喫茶店やホテルのロビー等周りに人の目がある場所も選択肢です。子どものいる家庭なら、勿論その同席は避けます。そして時間帯。休日の午前や昼間等が適切と思います。相手側に疲れが残っている、あるいは飲酒を始めている等が想定される夜間での切り出しは回避したほうがいいでしょう。また、話し合い難航や決裂を予想し、最初から親等第三者を介在させる選択肢もあるかもしれません。しかし、中立性がなく、一方に肩入れしがちな身内等の第三者を間に入れると、かえって話に収拾が付かなくなってしまうこともあるので注意が必要です(話し合い中に、高圧的態度や身体に危害を及ぼされるリスク等がある場合の検討対象と捉えてください)。次に②の伝える内容です。そのポイントを以下に整理します。
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その結論に至った経緯と理由を伝える |
愛情喪失、婚姻関係継続の不適切さ等につき、具体的な事実や経緯等を根拠に、決意に至った理由を分かり易くはっきり伝える。 |
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決意の固さを理解させる |
自分の愛情は一切戻らなく、家族として相手を支える気持ちも既に無いこと、関係改善の意志も一切ないこと等を伝える。結果的に婚姻関係の継続は苦痛しかもたらさず、そのことは双方にとって、マイナスでしかないこと 等々を訴求、理解させる。 |
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相手側の非を相手側に理解させる |
特に、不貞行為やDV、浪費癖等による精神状態や生活環境の悪化(裁判上の離婚理由)を原因とした離婚の場合、その裏付けとなる証拠を取得している旨を伝える。法廷論争に至った場合、証拠提示により、相手側の反論や言い訳が通用する可能性が小さいことを説明する。 |
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離婚後の生活資金の収支、子どもの生活等の不安を取り除く |
財産分与と就労先確保で生活面は当面維持可能なことや想定している子どもの養育カバー体制について説明する。 |
感情のみを前面に出さず、落ち着きのある言葉で上記ポイントに則し、明確に意志を伝えることが肝要です。反論に対しても、聞く耳を持つ姿勢を示したうえで、同じ主旨の意向や理由、説明を繰り返し丁寧に伝えます。ときに自分の非については認めるところは認め、相手側を煽るような言動は控えてください。特に初動においては、離婚につき、「真剣に向き合わなければならない」と相手側に強く認識させることを第一の目的としてください。日を置いて話し合いを重ねる過程で、粘り強く意志の固さを示し、「離婚止む無し」との妥協に繋げるという想定で臨むべきです。
以上、本稿では、離婚に際しての心構えや準備の重要性、意向通知の注意点を解説してきました。次項では、離婚における相手との具体的な取り決め条件について解説します。
(2026年4月 文責:小山田 真)